全盲の歩行初心者がナビゲーションアプリの徒歩ナビ機能を使ってみた話

IBM 視覚障がい者を屋内外の区別なく快適にナビゲーション(技術研究所内に常設体験施設を開設) - Japan
このプレスが発表されたのが今年の7月なので、かなり今更感がありますね…。なんか、以前からビーコンを使ってどうこうというような話はなんとなく出ていたと思うんですが、ここまで具体的な動きがすでにあるというのには驚きました。
仮に駅構内にこのシステムが設置されれば、視覚障害者が鉄道をより利用しやすくなるような気がします。課題は多くありそうですが、僕が生きている間には、こういった技術の恩恵も何らかの形で受けられるのではないかと思います。
では、2015年現在で、視覚障害者、特に全盲の人々が、初めて訪れる場所を歩くことは不可能なのかというと、必ずしもそうとは言い切れません。といっても、僕自身そのような経験をしたことがないので、あまり具体的なことは書けません。ただ、訪れたことのない場所にも積極的に出かけている人はたくさんいます。
そのような人たちが移動するときに利用するものの一つが、iOSのマップや Google Maps、ナビタイムといったナビゲーションアプリの徒歩ナビ機能です。先ほど書いたように、僕は完全に一人で全く知らない場所へ出向いたことがなく、実際にこのようなナビゲーションアプリがどの程度使えるのか以前から気になっていたので、検証してみました。
今回は、iOSに標準で組み込まれているマップ、Google MapsNavitime の徒歩ナビ機能について、ナビゲーションの正確さやわかりやすさ、おおよそのバッテリー消費量についてそれぞれ検証してみました。場所は、検証に集中できるように、普段歩いている学校から、寄宿舎までの道中にある天一までを歩いてみることにしました。特にナビゲーションのわかりやすさに関しては、かなり主観的な意見になってしまいそうですが、あえてそのまま書こうと思います。

iOSのマップ

まずは iOS に標準で組み込まれているマップです。天一の 10 mくらい手前まで案内してくれました。これは、iOS のマップに限らず、どのアプリに関しても共通していました。音声での経路案内は、一度の案内でかなり先の経路まで案内するときがあり、場所によっては、一度案内を聞いただけでは道順を把握しきれないような気がしました。
とはいえ、画面にも経路が表示されているので、VoiceOver で不通に読ませることができます。ただ、そのためには立ち止る必要があり、場所によってはこの方法は使えません。iOS のマップは、事前に経路を確認するのには使えそうですが、歩くときに使用するのは厳しいような気がします。バッテリーの消費量は、10%程度でした。

Google Maps

次は Google Maps です。経路案内の中で、目的地がどの方向にあるのかや、交差点などへの距離を具体的に示してくれたので、とてもわかりやすかったです。
ただ、「北大路通に向かって北に進む」といった案内もあり、このような案内は、事前にある程度周辺の地理が頭にないと理解するのは難しいと思います。とはいえ、案内は全体的に分かりやすく、事前のルート確認だけでなく、実際に歩く時にもかなり使えるのではないかと思います。バッテリーの消費量は、iOS のマップと変わらず 10%程度でした。

Navitime

Navitime の徒歩ナビ機能は、全盲の方からかなり良い評判を聞いていたのと、以前に晴眼者の人と一緒に歩いた時、試しに使ってみたところ、かなり正確に案内していたので、今回一番期待できそうなアプリでした。Navitime の徒歩ナビ機能は有料ですが、初めての利用では1 か月間無料で利用することができます。その後は、月単位の契約では400円かかります。
まず、ほかの二つのアプリと大きく違っていたのが、設定項目が充実していることです。歩行速度を選ぶことができたり、屋根の多いルートや、階段の少ないルートを優先して案内するといったカスタマイズをすることができます。
経路の案内に関しては、具体的な距離が案内されるのはもちろん、交差点の名前やわたる方向、場所によっては坂道があることを案内してくれたところもありました。全体的にとてもわかりやすく、事前のルート確認だけでなく、実際に歩く時にも使用することができると思います。バッテリーの消費量は 7%程度で、ほかの二つのアプリと比べると少なかったです。

まとめ

今回初めて様々なアプリの徒歩ナビ機能を使って一人で歩いて感じたのは、それぞれわかりやすさやわかりづらさはあったものの、やはり完全に一人で知らない場所を歩くことにはかなりの難しさがあるということです。これらのアプリも活用しながら、これまで以上に歩くことに慣れていきたいです。それと、ここまで書いておいてあれですが、これらのアプリが使える範囲には限界があります。恥ずかしがらずに、周りの人に聞いてみることもやはり大切だと思います。以上です。